銀行の窓口業務を無人化できるATMの商品化
OKIが銀行の窓口業務を無人化できるATMを2016年に販売開始する予定で、年内にメガバンク・地方銀行数社と試験運用に入るという記事がありました。
銀行窓口業務を無人化、TV電話で応対 OKIなど新型機 :日本経済新聞
このATMはテレビ電話の機能に加えて、口座開設や住所変更にも対応できるとのこと。記事によると、他にもATM世界最大手の米国NCRの日本法人も試験運用を始めるとあります。
人件費の削減を武器に売り込むようです。
人手不足、人件費削減の大きな動きの一つ。
少子高齢化社会を迎え、労働力が不足するなかで、信用が武器の金融機関にとっては窓口社員の確保とコスト削減は喫緊の課題で、銀行ではネットバンキングの普及やATMの利用促進を進めています。
しかし、どうしても窓口での対応が必要になる部分が残ってしまいます。そのためのコストが店舗を持たないネット専業銀行との競争で不利になっている状況の中で、遠隔対応での窓口業務を一刻も早く実現したいのは間違いありません。
ただ、実際に銀行に行き、窓口対応を待っている客層やATMの前で途方に暮れている方などを見る限り、無人化を実現するためには、機器の操作性を現行のATMよりも飛躍的に向上させ、あわせて必要な書類を簡素化するなど、無人化のために一歩踏み出した対策を施さないと実現は難しいように感じます。
記事にもあったとおり、試験運用をする中で、課題を解決していくことになるのでしょうが、対人対応と同程度のサービスレベルを維持するまでには時間がかかることでしょう。
ATMを巡る数字やキーワード
記事には、普段使っているATMについての数字がいくつか出てきました
- 国内の稼働中のATM→約20万台。うち年3万台の更新需要が発生。
- 有人の銀行店舗→約5万6千店(財団法人金融情報システムセンター(FISC))。地価等のコスト面で採算が厳しい店舗も多い。
- ATMメーカー→OKI、日立製作所系メーカー、富士通系メーカー、日本NCR(世界最大手の米国NCRの日本法人)
- 預金利率が高いインターネットバンキングとの競合が強まっている
- すべての窓口を無人にすれば人員を約3割減らせるとの試算も。
- OKIの新型機器の価格は1000万円弱。現状のATMの約3倍。

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