さらひと☆経済・ビジネスノート

日経新聞電子版などからサラリーマンとしてビジネストークや雑談のネタになりそうな記事や話題、数字などをクリップしています。日々チェックしてツイッターでツイートした情報を、1日分まとめて「さら経-日本経済ウォッチ」として掲載しています。

2014年10月7日の日本銀行黒田総裁記者会見要旨(全文)

日銀のウェブサイトに掲載されている黒田総裁の記者会見要旨です。勉強中の身にはひととおり読むだけでも勉強になります。

会見の一部は日経電子版でも見ることができます。2分程度にコンパクトにまとめられていますので、全体像がよくわかりますね。⇒映像 :日本経済新聞

―― 2014年10月7日(火)
午後3時半から約40分
(問) 本日の金融政策決定会合の結果について、ポイントをご説明下さい。
(答) 本日の決定会合では、「マネタリーベースが、年間約 60~70 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定しました。資産買入れに関しても、長期国債ETF、J-REITなどの資産について、これまでの買入れ方針を継続することとしました。
わが国の景気については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響から一部業種に在庫調整の動きがみられ、輸出も弱めの動きとなっていますが、先日公表された 9 月短観の結果をみると、企業の業況感は、総じて良好な水準を維持しています。2014 年度の事業計画についても、収益見通しが上方修正されるもとで、設備投資をしっかりと増加させていく計画となっています。また、家計部門については、雇用・所得環境の着実な改善が続く中、コンフィデンスは底堅く推移しており、個人消費における駆け込み需要の反動の影響も、全体としてみれば和らいできています。このように、企業部門・家計部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムは、しっかりと作用し続けていると考えています。従って、景気の総括判断としては、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きがみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている」としました。
海外経済は、新興国の一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復しています。輸出は、弱めの動きとなっていますが、先行きは、海外経済の回復やこのところの円安による下支え効果などを背景に、緩やかな増加に向かっていくとみられます。設備投資は、企業収益が改善する中で、緩やかに増加しています。公共投資は、高水準で横ばい圏内の動きとなっています。家計支出については、住宅投資で駆け込み需要の反動減が続いています。一方、個人消費は、天候不順の影響もひと頃みられましたが、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響も、自動車など耐久財以外の分野では、和らいできています。鉱工業生産は、在庫調整の動きもあって、このところの弱めの動きとなっていますが、以上の内外需要を反映して、先行きは緩やかな増加に復していくと考えられます。
この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にあります。企業の資金調達コストは低水準で推移し、企業からみた金融機関の貸出態度は改善傾向が続いています。そうしたもとで、銀行貸出残高は、中小企業向けも含め緩やかに増加しています。
物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半で推移しています。予想物価上昇率は、全体として上昇していると判断されます。
わが国経済の先行きについては、緩やかな回復基調を続け、駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくと考えられます。物価面では、消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられます。その後は、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、2014 年度から 16 年度までの見通し期間の中盤頃に、2%程度に達する可能性が高いとみています。
リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられます。
金融政策運営については、「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、今後とも、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続します。
その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行っていくという方針に変わりはありません。

(問) 景気の先行きについて、もう少し詳しくお尋ね致します。本日発表があった内閣府景気動向指数で、景気について下方向への局面変化という判断がなされました。景気が後退方向へ入っているのではないかと言う指摘もだんだん出てきているわけですが、一方で今の総裁のご説明だと緩やかな回復基調を続けるということで、景気のもたつきは一時的だというご説明だと思います。
景気のもたつきが一時的だという判断の根拠を改めてお尋ねします。また、安倍首相は年内に 7~9 月の景気の戻りを見て消費税の最終判断をされるとおっしゃっていますが、消費増税に耐えうるような経済環境が、今のままでも達成できるのか、あるいは政府・日銀による追加的な対応が何か必要と見ていらっしゃるのか、その点をお伺いします。
(答) 先程申し上げた通り、わが国の景気は、足許、確かに消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動、あるいは天候不順等の影響から生産面を中心に弱めの動きがみられていますが、基調的には緩やかな回復を続けているとみています。その背景としては、これも先程申し上げた通り、家計部門・企業部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと維持されているということがあります。企業部門については、高い収益を維持していますし、家計部門についても、雇用・所得環境は改善を続けています。そのもとで、企業については、設備投資を緩やかながら増加させています。家計については、確かに消費税率引き上げ、あるいは天候不順等の影響が足許みられましたが、徐々にそうした影響も和らぎつつあります。基本的に企業部門・家計部門ともに、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと維持されていると考えています。
なお、ご指摘の景気動向指数の中身をご覧になって頂くと分かりますように、生産面の諸指標がかなり多く含まれており、先程申し上げたように、鉱工業生産指数で弱めの数字が続いていることを反映したものだと思います。
ただ、鉱工業生産指数についても、先行きの見通しは、プラスになっていると聞いています。7~9 月の成長率は、先にならないと出てきませんので、今の段階で何か申し上げることは避けたいと思いますが、基本的には、4~6 月のマイナスから、7~9 月にはプラスに転じるだろうと思っています。
消費税率引き上げの判断は、あくまでも政府および国会でお決めになることですので、私から何か申し上げることはございません。

(問) 為替についてお伺いします。今日、国会で、総裁は、今まで起こった円安が日本経済全体にとってマイナスということはないと思うといったご発言をされています。また、ファンダメンタルズを反映した形の円安なら全体としてみて、景気にはプラスというお話でした。日米の金融政策の差というのは、これからどんどん拡がっていく可能性があると思います。そういう意味では、このところ一時 1 ドル 110 円まで円安になりましたが、総裁のお考えでは、まだまだ円安の余地があるという理解で宜しいでしょうか。
(答) 為替レートの現在の水準や先行きについて、何か申し上げるということは差し控えたいと思います。
そう申し上げた上で、ご指摘のように、このところの為替の動向の背景には、日本が「量的・質的金融緩和」という大規模な金融緩和を続けている一方で、FRBの政策スタンスに注目が集まっていることがあります。雇用など米国経済の回復が著しく、そうしたことに注目が集まっていることは事実だと思いますが、為替レートは様々な要因で変化します。私どもとしては、為替動向も含め、金融資本市場の状況については、実体経済に及ぼす影響を含めて、引き続き、注意深くみていきたいと思っています。

(問) 先程の質問にも関係しますが、足許、景気がややもたついており、マーケットを中心に、追加の金融緩和に対する期待が依然あると思います。その一方で、足許の円安について、中小企業や地方から懸念が出ています。これは、コストや資材価格が上昇することが、中小企業の収益や家計の下押しになるのではないか、つまり景気の下押し要因になるのではないかという面から、円安への懸念が出ているかと思います。その上で、追加の金融緩和をすると、円安をさらに助長してしまいます。その点に関してどのようにお考えなのかということと、あくまでそういう状況があるにもかかわらず、2 年で 2%という最初の目標通り、2 年程度で物価目標の達成を目指すということなのか、それとももう少し時間をかけて 2%を目指すという考えもあるのか、ということについてお伺いします。
(答) 冒頭申し上げました通り、私どもの「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しています。今後とも、2%の「物価安定の目標」の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続する、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行っていくということですので、当然、上下双方向ですから、必要があれば追加緩和についても検討することになると思います。今のところは所期の効果を発揮しており、「物価安定の目標」に向けての道筋を着実に辿っているということです。
金融政策としては、あくまでも物価安定が第 1 の目標ですので、為替について何か特定の水準や変化率を目的にして行うものではありません。上下双方向の調整というものは、為替を考慮してではなく、あくまでも「物価安定の目標」との関係で、必要があれば上下双方向の調整を行うということです。
なお、2 年で 2%という点については、昨年 4 月 4 日に「量的・質的金融緩和」を導入した際にも申し上げましたが、2%の「物価安定の目標」を 2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現するために、「量的・質的金融緩和」を導入したわけで、そうした意図には変わりはありません。ただその上で、4 月 4 日以来ずっと申し上げていますし、今回の金融政策決定会合後の公表文にも書いてある通り、「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということです。この政策自体は、あくまでも、米国で言うカレンダーベースではなくアウトカムベースと言いますか、まさに「物価安定の目標」との関係で、それが実現し、安定的に持続されるまで続けるというものです。

(問) 「物価安定の目標」についてお聞きします。生産が弱めの動きとなって、足許急激にもたつきがみられており、おそらく成長率など当初見通しより下がる可能性が高いと思うのですが、そうした中で、物価だけが順調に 2%に予定通り上がっていくとお考えになる根拠を教えて下さい。
また、成長率が下振れする中で物価だけが上がっていくというのが好ましいのかどうか、その点も教えて下さい。
(答) まず、2 点目のご質問に答えますと、もちろん物価だけが上がって、実質成長率が上がらないというのは好ましくなく、「物価安定の目標」に向かって物価上昇率が次第に加速していくもとで、実体経済も改善していくことが一番望ましいわけです。そういった観点から、金融緩和とともに、政府においては機動的な財政運営や成長戦略を考えられているということだと思います。
1 点目の物価上昇率の見通しについては、昨年 4 月 4 日に「量的・質的金融緩和」を導入して以来、これまでのところ、ほとんど変わっていません。
一方で、成長率は若干上下しています。そうした中で、なぜ「物価安定の目標」に向かって着実に進んでいるかというと、従来から申し上げているように、内需中心の景気の回復が続いており、そうしたもとで、労働市場が非常にタイトになって──失業率は 3.5%あるいは有効求人倍率も 1.1 倍で──、GDPギャップもかなり縮んできており、賃金、物価が上昇傾向を辿ってきたということだと思います。何か特別なことがあったというよりも、今申し上げたように需給ギャップが縮んできており、そうしたもとで、物価上昇期待も、昨年 4月 4 日に「量的・質的金融緩和」を導入して以降、徐々に上昇してきています。
需給ギャップが縮み、物価上昇期待が上昇してきているもとで、物価が上がってきているということに尽きると思います。

(問) 今の質問に関連しますが、成長率について、これだけ足許の景気が下振れしている中で、2014 年度 1%の見通しは維持できるのか、さらなる下方修正もあり得るのか、現時点での総裁のご認識をお聞かせ下さい。
(答) この点については、ご案内の通り、今月末の金融政策決定会合において、展望レポートについて議論し、必要な修正を行うことになると思います。その時点までに入手可能な様々な経済指標を活用して、成長率や物価上昇率について、必要があれば新たな数字に変えていくことになると思いますので、今からそうした議論を先取りして、下方修正になるだろうとか何か予言めいたことを言うことは差し控えたいと思います。

(問) 先程、目標達成期限について、カレンダーベースではなく、2%が安定して持続できるまで「量的・質的金融緩和」を続けるとご説明されました。
2 年程度で達成を目指してはいるが、現在、展望レポートで示している目標達成の見通し――見通し期間の中盤頃、大体 2015 年度だと思うのですが――、そういったシナリオが崩れないで続く限りは、2 年という期限にあまり拘らないという理解でよろしいでしょうか。
(答) 先程申し上げた通り、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入しました。そのもとで、半年ごとに新しい展望レポートを示し、その中間時点での見直しも示していますが、過去 1 年半近くを見ても、ほとんど物価上昇率見通しの中央値は変わっていません。2015 年度は 1.9%、2016 年度は 2.1%の見通しで従来から変わっていません。従って、物価上昇率についての考え方、見通しも変わっていません。まさに、2 年程度の期間を念頭に置いて、「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成するために行っている「量的・質的金融緩和」は、所期の効果を発揮しており、目標達成に向けて着実に進んでいるということだと思います。

(問) 物価と円相場についてお伺いします。物価については、民間では、原油価格の下落で、短期的に、消費税率を除くベースで 1%割れとなる可能性があるとみる先が多くなっています。総裁は、直近の状況でこの可能性をどう考えていて、それを上下双方向のリスクを点検するという文脈においてどのように捉えたらよいか、改めてお聞かせ下さい。
円相場については、この 1~2 か月の動きは、急ピッチ、急激であるかということを、総裁はどのようにお考えでしょうか。
(答) 1 点目については、月次の物価上昇率は、色々な要因で振れますし、ご指摘のように、このところ原油安が続いていることが、物価上昇率に下押しの圧力として効いてくることは事実です。ただ、日本経済にとってみれば、原油の価格が下がることはプラスですので、中長期的にみればむしろ物価上昇率を引き上げていく方向に影響します。従って、足許の月次の数字は振れると思いますが、今回の決定会合後の公表文でも示している通り、当面 1%台前半で推移した後、今年度の後半から少しずつ加速していき、2015 年度を中心とする期間に 2%に達する可能性が高いという見通しに変わりはありません。
円安のテンポが速いかどうかについては、速いという見方もあるでしょうし、行き過ぎたものが是正されただけという人もいるでしょうし、あるいは日米の金融政策の違いの影響であるという人もいるでしょうし、色々な見方があると思いますが、私どもはあくまでも、為替レートとは、金融や実体経済の様々な指標の中の 1 つである――重要な指標であることは事実ですが――、と捉えており、2%の「物価安定の目標」に向けて着実に進んでいく上で、金融や実体経済全体にどのような影響が出るかに着目しています。為替レートの水準や日々の変化率について特に着目して議論するのではなく、経済全体に対する影響と、なかんずく物価上昇率に対する影響の観点からみています。そうした観点からみて、何か異常なことが起こっているとは思いません。

(問) 先程、2 年程度での「物価安定の目標」の達成について、所期の効果を発揮しているということは、総裁が去年 4 月の段階で考えていたことと、現状には全く相違がないということでよろしいのでしょうか。また、審議委員の方々を含めてそういう考えでしょうか。
また、追加緩和について、会見でのお話を色々とお聞きすると年内を含めて、今の状況であれば、考えていないとも感じ取れるのですが、どうでしょうか。
(答) まず 1 点目については、その通りであります。展望レポートや毎月の金融政策決定会合後のステートメントを見て頂くと分かりますように、成長率は振れていますが、基本的に物価についての見通しはほとんど変っていません。
2 点目の追加緩和については、2%の「物価安定の目標」との関連で必要があれば、必要な調整を行うということは、何度も申し上げています。1 年に 14 回も金融政策決定会合がありますので、何時でもそういった調整は可能であるということです。今の時点で、そういった調整が必要かどうかは、経済・物価動向がどのように展開していくかによるので、順調に経済・物価動向が展開して、見通し期間の中盤頃である来年度を中心とした時期に 2%の「物価安定の目標」が達成されるという状況であれば、特別に調整を行う必要はないでしょうし、そうでないようであれば調整を行うということだと思います。

(問) 本日午前の参議院予算委員会での為替についての発言ですが、総裁からは経済や金融のファンダメンタルズを反映した形の円安は、全体として景気にプラスとありました。現在の為替水準は、ファンダメンタルズを十分に反映しているのかどうかという点について、どう考えていらっしゃるのか、もし十分に反映されておらず、さらに円安となる余地もあるのか、その判断を教えて下さい。
(答) それは、現在の水準が適正な水準かどうかということをお聞きになっていることと同じだと思います。水準について、何か判断めいたことを申し上げるのは差し控えさせて頂きたいと思います。
従来から申し上げている通り、実体経済や金融といったファンダメンタルズに即した方向での為替の変動は、マイナスにならない、むしろプラスであろうと思います。ただファンダメンタルズ自体も動きますので、どのようにみるのかというのが、重要なポイントになると思います。日本、欧米各国や新興国などの成長率、物価上昇率あるいは金融政策その他様々な要因が絡んでいますので、事前にこちらが正しいとか、あるいはこういった水準が適切であるということは非常に難しいと思います。これまでのところをみる限りは、行き過ぎた円高が是正され、最近時点で言えば、各国の金融政策の違いにマーケットの注目が集まっているという中で、ある意味で言うと、自然な為替の変動かなと思っていますけれども、水準とか変化のスピードについて、具体的なことを申し上げるのは差し控えたいと思います。

(問) 地政学リスクについてお伺いします。地政学リスクが散見されているにもかかわらず、金融市場は全く反応していません。普通に考えると地政学リスクが生じると原油が上がったり、商品価格が上がったり、景気に下押しとなりますが、全くそうなっておらず、インフレ懸念も高まっていません。中国も成長していると言いつつ弱い状況に見えます。新興国、特に中国が本当に成長しているのであれば、商品価格が上昇したりすると思います。そのような状況がみられないのは、均衡しているからとみるのか、世界経済の成長と商品価格の下落に関して、どのようにお考えなのかお伺いします。
(答) 世界経済の動向については、各種の国際機関が最新の経済見通しを発表してきており、足許、若干下方修正されているようですが、成長率が少しずつでも年々高まっていくという方向性は変わっていないように思います。
その一方で、石油、原油、あるいは穀物といった商品の相場がこのところ下落して弱いのはなぜか、ということですが、商品市況ですから色々な要素があると思います。全体としてみれば、供給面と需要面と両方あると思いますが、供給面では、色々な地政学リスクにもかかわらず、石油、原油については、産出量は増えているわけです。これは、米国で増えているだけでなく、中近東でも増えているということです。穀物については、このところ豊作が続いているわけで、そういった供給面の要因があります。他方で、需要面も、足許、特に新興国の回復が若干もたついていることもあると思います。ただ、中国については、7.5%程度の成長が今年達成されそうであり、来年も 7%台前半の成長が達成されそうだというのが、国際機関等の見方であり、中国経済の成長が非常に弱いということはないと思います。不動産市況がやや不安定だといったことはありますが、中国経済の成長が大きく鈍化しているということはなく、高めの成長が安定的に続いていると思います。中国経済の構造自体がだんだんと、外需に依存する形から内需に依存する形に変わってきているので、そうした中で、鉱産物に対する需要がかつてのようには伸びないということはあるかもしれませんが、中国経済自体が非常に弱いということはないと私は思っております。
従って、地政学リスクが言われている割に、商品市況がむしろ弱含みである理由如何ということかもしれませんが、今言ったような状況からみて、何か特におかしいことが起こっているということではないと思いますし、一方で潜在的な地政学リスクというのは依然として残っており、よく注意していく必要があろうと思っています。

(問) 今週ワシントンでG20が開催されますが、どういったことが議論になりそうか、また総裁からどういったことを発信していくおつもりなのかお聞かせ下さい。
(答) 基本的には、先日、オーストラリアのケアンズで 2 日かけて議論した後でありますので、その議論を踏まえて、11 月のブリスベンでのG20サミットへの最終的な調整が行われるということだと思います。その他に、もちろん世界経済とか、国際金融情勢についての話もあろうと思いますけれども、一番重要な点は、前段で申し上げたようなことではないかと思っています。

(問) 本日の決定会合中に参議院予算委員会に出席するために、1 時間超にわたって決定会合を中断するということがあり、1998 年以来 16 年振りのかなり異例な事態だと思います。決定会合は、国内外の金融市場からもかなり注目を集めているものですので、その決定・判断がこういう国会出席のために遅れる事態について、総裁はどのようなお考えを持っておられるのかご見解を伺えればと思います。
(答) 国会への出席自体は、日銀法に規定されていることですので、それに従って出席したということです。一方、ご指摘のように、金融政策決定会合は、わが国の金融政策を決定する重要な会合であり、十分な時間をとって審議・決定を行う必要がある会議です。また、内外の金融市場を含めて、決定に関する関心、注目は非常に高いと思います。従って、こうした点については、引き続き関係各位のご理解を頂きたいと思っています。